バランス型フィルタ出力の切り替えを1チップで実現

2006年3月31日

X(クロス)SPDTスイッチ NJG1642HE3のサンプル配布開始

新日本無線では、携帯電話などで使われている平衡信号用のフィルタ(バランス型フィルタ)の切り替えに最適なX-SPDT(クロス シングル ポール デュアル スロー Single Pole Dual Throw)スイッチIC、NJG1642HE3の開発を完了しサンプル配布を可能としました。

NJG1642HE3は、SPDTスイッチ2回路およびインバータ回路で構成され、1ビットコントロール信号での切り替え機能を持ったスイッチICで、内蔵のSPDTスイッチ2回路を連動させて切り替えることで、バランス型フィルタのような、2ポート(信号線2本)1組の出力を持つ回路、2回路より1回路を選択するような切り替えを1チップで行うことが出来ます(図1参照)。

携帯電話、無線LAN機器などの送受信回路や、高速デジタル伝送線路では、ノイズ対策やS/N比(信号対ノイズ比)を改善するために、1対(2本)の信号線を使い信号線間の電位差で信号を表わす平衡信号が使われています。携帯電話の受信回路ブロックでは、アンテナを通過した受信信号はBPF(バンドパスフィルタ)を経てさらにバラン(Balun 平衡:Balanceと不平衡:Unbalanceの頭文字の合成語)という平衡-非平衡信号変換器で平衡信号*1に変換された後、RF-IC(Radio Frequency IC 無線周波数帯信号処理IC)で信号処理されます。最近ではBPFとバランを組み合わせ一体型にしたいわゆるバランス型フィルタが多く使われています。バランス型フィルタからの平衡信号出力は2本の信号線で送られる為2本の信号線の切り替えが容易にできるクロススイッチが必要になります(図1参照)。

NJG1642HE3は、従来SPDTスイッチIC 2つを使い、基板上で配線を交差させて実現していた2系統の平衡信号の切り替え(図2参照)を1チップで実現できます。NJG1642HE3は、さらに当社従来品に比べ下記のような特徴を有しており、携帯電話などバランス型フィルタ出力の切り替えに最適です。

  1. 従来製品では、2ビットコントロール信号での切り替えが必要であったが、インバータ回路を内蔵することで1ビットコントロール信号での切り替えが可能。
  2. f=3GHzまでの広帯域化で、低挿入損失(0.3dB Typ.@f=1GHz)を実現。
  3. コントロール電圧VCTL(H)の最低動作電圧を1.7Vにすることにより、低電圧ロジックからの直接制御が可能。
※1
平衡信号とは、差動型、ディファレンシャル(differential)とも呼ばれ、データ伝送に1対の信号線を使い、信号線間の電位差で信号を表します。グランドレベルに左右されないため、不平衡信号に比べてノイズに強く、より長距離、より高速通信に対応できます。
NJG1642HE3使用例
図1 NJG1642HE3 アプリケーション例
従来
図2 従来のアプリケーション例
<開発製品一覧>
製品名 機  能 応  用 外 形
NJG1642HE3 X(クロス)SPDTスイッチIC バランス型フィルタの切り替えなど USB12-E3
NJG1642HE3
<製品の機能および特徴の概要>
低電圧動作   VDD=+2.0V~+5.0V
低切り替え電圧   VCTL(H)= +1.7V~+VDD /VCTL(L)= 0V~+0.4V
低挿入損失   0.3dB @f=1.0GHz,PIN= 0dBm,VDD= 2.7V
  0.4dB @f=2.0GHz,PIN= 0dBm,VDD= 2.7V
  0.55dB @f=3.0GHz,PIN= 0dBm,VDD= 2.7V
低消費電流   16uA typ. @f=1.0GHz,PIN= 0dBm,VDD= 2.7V
低コントロール電流   8uA typ. @f=1.0GHz,PIN= 0dBm,VDD= 2.7V
外形   USB12-E3 (2.35× 2.35× 0.75mm)
<生産予定/サンプル価格>
弊社では、NJG1642HE3のサンプル配布を2006年3月より開始し、生産は6月より月産100万個で立ち上げる予定です。なおサンプル価格は@¥70です。

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