技術情報 ~マイクロ波製品~

マリンレーダ装置の不要輻射抑制に向けた取り組み

1.不要輻射に関する規制
不要輻射の新規制値は、国際電気通信連合の世界無線通信会議において決定された無線通信規則(Radio Regulation)付録第3号に定められており、2003年1月1日以降に搭載されるマリンレーダー装置の不要輻射レベルは、これに準拠する必要性が出て参りました。
国際電気通信連合
不要輻射の領域は、帯域外発射領域とスプリアス発射領域に分けられ、無線通信規則の付録第3号には、一次レーダーのスプリアス発射領域の制限値を「43+log(PEP)または60dBcのいずれか厳しくない方」と規定しております。また、帯域外発射領域とスプリアス発射領域の境界ついては勧告ITU-R SM1541 ANNEX 8に規定されております。
Xバンドマリンレーダー装置の不要輻射
Xバンドマリンレーダーシステム例
2.不要輻射レベル抑制の困難性
マリンレーダー装置の送信部には、発振器としてマグネトロンと呼ばれる電子管が使用されております。不要輻射特性に難点がありますがローコストである事が使用される最大の理由です。
レーダー装置の送信部に搭載される発振器の特徴
  不要輻射特性 出力 価格
マグネトロン ×
クライストロン ×
固体発振器 × ×
 
固体発振器の不要輻射は高調波が主となりますが、マグネトロンの不要輻射は、高調波(発振波形の歪みに起因)とマグネトロン内部の共振器構造に起因する周波数の輻射(多空胴共振モードに起因)、及びノイズから立ち上がる発振機構に起因する数10~数100(MHz)の低い周波数の輻射(発振周波数のドリフトに起因)が含まれております。
多空胴共振モードの中で、所要周波数の共振モードはπモードと呼ばれ、πモードに対し内部の高周波電界が一組少ない共振モードはπ-1モードと呼ばれます。このπ-1モードが最もレベルが大きい不要輻射です。(下図参照)
π-1モード
(a)πモード(正常発振モード) (b)π-1モード
マグネトロン内部の高周波電界(図中 青破線)
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